機能安全登録適合性証明機関 登録番号2

安全・環境マネジメント協会

ワールドスピリット

2022年5月15日 日本における機能安全の動向(第1話)


機能安全のことが国内で取り上げられることが多くなったのは、IEC 61508シリーズ【注】の初版が発行された2000年の少し前、1990年代後半頃からのように思います。

最近では「機能安全とは」、という質問も少なくなり、ようやく日本の産業界の中でキーワードとして定着してきたようです。とはいえ、世界では新商品開発にあたって機能安全導入は当たり前ですが、日本では広く浸透していないようです。

それは、次の2つの心理的抵抗感があるのではないかと感じています。


(1) 規格の中に答えがない(ターゲットがない)

多くの規格には、要求事項の中に試験条件と合否判定基準が明確に書かれています。

すなわち、ターゲットに向けた対応が比較的容易です。

例えば、「直径5ccm・重さ500gの鋼球を高さ1mから試験品の表面に落下させたとき、充電部が露出する破損がないこと」のように。

しかし、機能安全規格には、明確な基準がないので、自分たちで実施したリスクアセスメントの結果に基づき、安全要求仕様を自分たちで定め、それをR&Dすべての段階に適用して実現させる。

これは、ターゲットを自分たちで設定し、そこへの道程を自分たちで作る、という作業です。

(2) 安全はコスト

安全にお金を使うことはコストとして捉えられ、費用対効果を追求されがちです。

しかし、視点を変えると安全は重要なマーケティングツール、すなわち、企業価値を高める投資と捉えることが出来ます。

以前、環境をはじめSDGsに必要とするお金は正にコスト扱いでしたが、今や企業価値を高める投資と捉えられるようになってきたことは周知の事実です。

安全は、投資ととらえる時期に来ています。

機能安全導入には、このような心理的抵抗感を取り除くことが必要であり、それは、我々の使命だと思っています。


【注】IEC 61508 シリーズ Functional safety of electrical/electronic/programmable electronic safety-related systems – Parts 1 to 7


- 日工の知っておきたい小冊子シリーズ(IEC 61508認証安全PLC & 計器製品ガイド2018(2018年10月)「国内における機能安全の動向(機能安全の重要性、導入手順と証明)」より抜粋、加筆修正